2026年6月、帝国データバンクから、塗装・防水工事業の倒産についての調査が公表されました。
2026年の1月から5月までで、倒産は80件。
前の年の同じ時期より少し減ってはいるものの、依然として高い水準が続いています。
しかも、倒れているのはそのほとんどが小さな工事会社です。
「うちの業界も、似たような状況かもしれない」
そう感じた社長に、ぜひ考えてほしいことがあります。
大事なのは、倒産の件数そのものよりも、自社が同じ構造に置かれていないかを冷静に確かめることです。
塗装・防水工事の倒産が高止まり
まずは、公表された数字を確認してみます。
AIで「塗装・防水工事業の倒産 帝国データバンク 2026年」について調べてみると、こんな解説が出てきます。
2026年1〜5月の塗装・防水工事業の倒産は80件で、前年同期の87件をやや下回ったものの、高い水準が続いている。内訳は塗装工事が56件、防水工事が24件。負債1億円未満の小規模倒産が69件と全体の86.3%を占めた。2025年の年間倒産は206件と2000年以降で最多を記録しており、2024年の162件、2023年の125件から増加が続いてきた。資材価格の高騰や人手不足に加え、中東情勢によるナフサ供給の不安が新たな重荷になっているとされる。
— AI検索で「塗装・防水工事業の倒産 帝国データバンク 2026年」について調べた際の解説より引用
件数だけ見れば、前の年より少し落ち着いたように映ります。
ですが、2025年は年間206件と、過去でいちばん多くの倒産が起きた年でした。
その高い水準が、今年も依然として続いています。
そして倒れているのは、負債が1億円に満たない小さな会社が中心。
体力のある大手ではなく、地域で長く続けてきたような小規模の工事会社から、先に息切れを起こしている。
ここに、今回のニュースのいちばんのポイントがあります。
倒産が高止まりしている原因とは?
では、なぜ小さな工事会社から先に苦しくなるのでしょうか。
それは、いくつかの原因が同時に重なっているからです。
塗料や防水材といった資材の値段は、ここ数年ずっと上がり続けています。
それに加え、職人さんの高齢化と人手不足で、人件費や外注費も膨らんでいる。
新築住宅の着工は減り、限られた仕事を奪い合う価格競争や、短い納期での無理な対応も増えています。
さらに最近は、中東情勢の影響で、ナフサという原料の供給に不安が出てきました。
塗料の溶剤や副資材はナフサからつくられるため、見積もりが出しにくくなったり、工期が遅れたりということが起こっている。
これらには、ひとつの共通点があります。
それが「コストが上がる」という点です。
本来なら、コストが上がった分は、価格に転嫁しなければなりません。
そうしないと、利益がどんどん削られていく。
でも、下請けや小規模の工事会社は、その値上げがいちばんできにくい立場にいます。
元請けや施主から「この金額でお願いします」と言われれば、なかなか断れない。
同業との競争も激しく、強気の見積もりを出せば、仕事そのものが他社に流れてしまいます。
価格を自由に決められないんですね。
そもそも、値上げをするのは、そう簡単ではありません。
似たような会社がひしめく市場では、価格を上げたとたんにお客が離れていくリスクも考えなければなりません。
価格を自由に決められない構造のままだと、コスト高の波が来るたびに、どんどん利益を失うことになってしまいます。
利益が残る構造になっているか?
ここで、社長に考えてほしいことがあります。
倒産の件数が、前の年より増えたか減ったか。
そこに一喜一憂しても、自社の資金繰りは1円も変わりません。
本当に見るべきは、ニュースの数字ではなく、自社のお金の流れ。
次のことを、紙にメモする程度でかまわないので確かめてみてください。
- 仕事の値段を、自社の都合である程度は決められているか
- 資材や外注費が上がった分を、見積もりに反映できているか
- 忙しさのわりに、毎月、会社にお金が残っているか
- 赤字すれすれの仕事を、断れずに受け続けていないか
もし、いくつも気にかかる点があるなら、それは一時的な不調ではないかもしれません。
仕事の取り方や値付けといった、会社の構造そのものに原因があるおそれがあります。
そして、ここがいちばん大事なところ。
構造に原因があるのに、運転資金を借りて穴をふさごうとすると、逆に資金繰りは苦しくなります。
穴の空いたバケツに水を足し続けても、水は一向にたまりません。
毎月赤字が出る仕組みのままお金を入れても、その赤字に飲み込まれていくだけ。
必要なのは、水を足すことではなく、先にバケツの穴をふさぐことなんですね。
資金繰りをまわして時間を稼ぎながら、利益が残る形に事業を組み立て直すことが先決です。
法的な手続きに頼らない再生という選択肢
とはいえ、利益が出ない状態が長く続けば、資金繰りはどんどん厳しくなっていく。
支払いが追いつかなくなり、借入の返済も重くのしかかってくる。
そうなると、まわりから民事再生や破産といった法的な手続きを勧められる場面も出てきます。
どれも制度としては必要なしくみで、選ぶべき場面もあります。
ただ、これらの手続きは、結果として会社の倒産や、社長個人の破綻に行き着くことになる。
長年かけて積み上げてきた手元のお金や自宅まで、ほとんど残らない形で手放すことになりかねません。
たちばなはじめは、「どんな状態でも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探る」というスタンスで支援にあたっています。
事業を立て直すにしても、整理して次へ進むにしても、その先の生活をどれだけ守れるか。
そこを何より大切にしているからです。
具体的には、金融機関との交渉のしかたを見直したり、返済の組み立てを変えたりしながら、法的な手続きに頼らない道を探っていく。
契約や税務、不動産のことなど幅広く関わってくるので、顧問の弁護士や税理士といった専門家とも力を合わせて、ひとつずつ進めていきます。
数字から目をそらしてはならない
こうしたお話をするのは、たちばなはじめ自身の経験があるからです。
たちばなはじめも、かつて自らの事業が破綻し、多額の負債を抱えて返済が立ち行かなくなったことがあります。
会社をたたむしかないと弁護士に相談したものの、提示された費用すら払えず、その道も閉ざされた。
そこから金融機関との交渉のしかたを見直し、法的な手続きに頼らずに再起へとこぎつけました。
その実体験をもとに独自の再生のやり方を確立し、同じように苦しむ社長の伴走を続けてきました。
その経験から、はっきり言えることがある。
業績が傾く会社の裏側には、たいてい、自社のお金の流れから目をそらしてしまった時間があります。
利益は、結果として後から出てくる数字。
現金は、いま手元にあるかどうかを示す、ごまかしのきかない事実。
塗装・防水の倒産が高止まりしている今も、数字から目をそらしているうちに事態が深くなった会社は、けっして少なくないでしょう。
資金繰りは我慢してはならない
塗装・防水工事の倒産が高止まりしているというニュースは、その業界だけの話ではありません。
価格を自分で決めにくく、コスト高の影響を直接かぶる業種業態は多いでしょう。
件数の増減を眺めて「うちはまだ大丈夫」と思っているうちに、利益はじわじわと削られていく。
見るべきは、件数ではなく、自社にお金が残る構造になっているかどうか。
そして、もし崩れかけているなら、手遅れになってからでは選べる道がどんどん狭くなってしまう。
逆に、早く動けば動くほど、会社にもお金にも、残せるものは多くなります。
「うちは価格を決められているだろうか」「このままで利益は残るのか」
もし少しでも気にかかることがあるなら、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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