値上げのニュースを、毎日のように目にします。
ですが、自分の会社が同じように売値を上げられているかというと、話は別ではないでしょうか。
仕入れや資材の値段は、上がる一方。
なのに、お客さんの顔を思うと、思い切った値上げにはなかなか踏み切れない。
そんな板挟みのなかで、毎月をしのいでいる社長は少なくありません。
では、コストの上昇を価格に転嫁しきれないとき、会社の現金には何が起きているのか。
いま増えている「物価高倒産」の中身から、順番に見ていきます。
物価高倒産が6カ月連続で増えている
まず、いま起きていることを数字で押さえておきましょう。
AIで「2026年5月 物価高倒産」について調べてみると、次のような解説が出てきます。
2026年5月の「物価高」倒産は64件で、前年同月比42.2%増と1.4倍に増加した。
2025年12月から6カ月連続で前年同月を上回っている。
原材料や肥料、飼料などのコスト上昇分を、価格転嫁できていない現状が背景にあると指摘されている。
— AI検索で「2026年5月 物価高倒産 価格転嫁」について調べた際の解説より引用
値上げそのものは、世の中の流れとしても続いています。
AIで「2026年 食品値上げ 品目数」について調べると、こんな解説もありました。
2026年6月の飲食料品の値上げは1,078品目で、1回あたりの平均改定率は14%。
中東情勢を要因とする値上げも22.7%にのぼる。
年内には、5年連続となる年間1万品目突破が見込まれている。
— AI検索で「2026年 食品値上げ 品目数 改定率」について調べた際の解説より引用
大手メーカーは、こうして値段を上げていく。
問題は、その値上げ分を引き受ける側の中小企業です。
仕入れ値は上がる、けれど自社の売値は思うように上げられない。
その差を会社の体力で埋め続けた結果が、いまの物価高倒産の増加につながっているんですね。
価格転嫁が簡単ではない本当の理由
「もっと強気に値上げすればいい」
外から見ると、そう聞こえるかもしれません。
でも、現場の感覚はまるで違う。
たちばなはじめがセミナーでよくお伝えしているのは、こういう話です。
国を挙げて物価を2%上げようとしても、長いあいだ達成できなかった。
国全体でも難しかったことを、一社の中小企業が客単価アップで簡単にやってのけられるはずがない、と。
多くの中小企業が戦っているのは、同じような商品やサービスがひしめくレッドオーシャンの市場。
少し値上げしただけで、お客さんが隣の店に流れてしまう。
その怖さを知っているからこそ、社長は売値に手をつけられないわけです。
かといって、仕入れを叩いたり経費を削ったりするのにも限界があります。
仕入れを抑えすぎれば品質が落ちて、結局はお客さんが離れていく。
経費を削りすぎれば、今度は従業員が疲れて辞めていく。
どこを動かしても、別のどこかが痛む。
価格転嫁というのは、それくらい一筋縄ではいかないテーマなんですね。
売上が落ちていないのにお金が残らない
ここで、いちばん見落とされがちなことをお伝えします。
価格転嫁が追いつかない会社で起きるのは、「売上の減少」ではありません。
多くの場合、売上はそれほど落ちていない。
本当に落ちているのは、粗利のほうです。
仕入れや資材が上がったのに売値が同じなら、1つ売るごとに手元に残るお金は減っていく。
売上の数字は去年と変わらない。
なのに、なぜか毎月の支払いがじわじわと苦しくなる。
そういう社長は、まさにこの粗利の目減りが効いてきているケースが多いんです。
ここで怖いのは、損益計算書の利益だけを眺めていると、この変化に気づくのが遅れること。
利益は、決算が締まってから後ろ向きに見えてくる数字にすぎません。
一方で現金は、いま手元にあるかどうかを示す、ごまかしのきかない事実。
たちばなはじめが日々お伝えしているのも、「数字、とくに現金の流れから目をそらさない」というメッセージです。
会計を経理や税理士まかせにして、売上と利益だけを見ていると、現金が細っていく音が聞こえません。
難しい分析でなくてかまわない。
毎月いくら入っていくら出たのか、月末にいくら残ったのか。
その現金の動きを社長自身の目で追うだけで、手を打つタイミングは早くなります。
苦しくなったとき限られた資金をどこに回すか
とはいえ、現状を把握したうえで、それでも資金が足りない月は出てきます。
そのとき大事になるのが、「限られたお金を、どこから先に回すか」という順番。
たちばなはじめが繰り返しお伝えしているお金の優先順位は、次の5つです。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族、従業員、お客様、協力企業を守るのが先。
銀行への返済は、いちばん最後です。
これが、たちばなはじめのコンセプトなんですね。
「銀行を後回しにしたら、会社が続けられなくなるのでは」
そう思われるかもしれません。
ですが、ここで一度、考えてみてほしい。
家族の生活が壊れ、従業員が去り、お客さんや仕入れ先との信頼を失ってしまえば、その会社はもう立て直しようがありません。
銀行への返済を最優先にして、ほかのすべてを後回しにした結果、土台のほうが先に崩れてしまう。
これでは本末転倒です。
無理な返済を続けて現金を使い果たせば、遅かれ早かれ、どこかで限界がくる。
だからこそ、苦しい局面ほど、この順番を崩さないでほしいのです。
倒産や破産しかないと言われる前に
物価高で資金繰りが詰まってくると、相談先によっては厳しい言葉を告げられることがあります。
「もう会社をたたむしかない」
「法的な手続きを進めましょう」
そうやって背中を押され、よくわからないまま話が進んでいく。
気づけば、現金も資産もほとんど残らない形で整理されてしまう。
そんなケースは、現場で実際によくあるんです。
ですが、ちょっと待ってください。
会社をたたむことや、法的な手続きだけが、唯一の道ではありません。
相談を受けた専門家は、自分が得意とする手続きのなかから、いちばん筋道の立てやすい答えを示します。
法的な手続きを得意とする専門家がいる一方で、私たちのように、法的な手続きに頼らない方法を得意とする者もいる。
どこに相談するかで、出てくる選択肢の幅は、自然と変わってくるわけです。
私たちが大切にしているのは、どんな状態でも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探るという姿勢。
金融機関との交渉方法を見直すことで、法的な手続きに頼らずに立て直していく道もあります。
理想を言えば、業績や時間に余裕があるうちに動き始めること。
とはいえ、すでに資金繰りがかなり苦しく、「もう手遅れかもしれない」と感じている社長もいるでしょう。
そんな局面でも、諦めるのはまだ早い。
いまの状況で何が残されているのかを一緒に確かめるところから、まだ打てる手はあります。
早めに動くほど選べる道は多い
物価高は、社長一人の努力でどうにかできるものではありません。
だからこそ、外の力でコントロールできないものに振り回される前に、自分でコントロールできる現金の流れに目を向けてほしいんです。
現金の動きを把握する。
限られた資金を回す順番を決めておく。
そして、追い詰められる前に、選択肢を知っておく。
この3つを早く始めるほど、選べる道はそれだけ多く残ります。
資金繰りは、我慢して抱え込むものではない。
会社と社長にお金を残す基本的な考え方は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています。
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もし少しでも心当たりがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
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