取引先の倒産は、たいていある日いきなり知らされます。
「来月から支払いを止めさせてください」
その一報だけで、これまで積み上げてきた売掛金や受取手形が、一瞬で焦げ付いてしまう。
自社の決算は黒字。
なのに、入ってくるはずだった現金が入らない。
これが、連鎖倒産の入口です。
自社がどれだけ健全に経営していても、取引先の破綻はこちらの息の根を止めにきます。
では、取引先の倒産から会社を守るために、社長は何を見て、どう動けばいいのか。
取引先の倒産は、なぜ自社の現金を直撃するのか
売掛金や受取手形は、言ってしまえば「まだ現金になっていない売上」です。
取引先が倒れた瞬間、その回収はほぼ不可能になります。
利益として計上していた分が、まるごと損失に変わってしまう。
怖いのは、現金が出ていくスピードのほうです。
仕入れや外注への支払い、従業員への給与、銀行への返済は、こちらの都合を待ってくれません。
入金は止まり、出ていくお金だけが続く。
売上はあるのに資金が回らなくなる、いわゆる黒字倒産の典型的な構図。
たちばなはじめ自身、かつて燃料油の卸・小売を中心に複数の事業を営んでいた時期があります。
そのころ、大手取引先の経営破綻に巻き込まれ、6,500万円規模の手形が焦げ付いた経験があります。
1社の破綻が、自社の資金繰りを根こそぎ揺らす。
その怖さを、たちばなは身をもって知っています。
倒産が増えるいま、取引先リスクは他人事ではない
取引先が倒れる確率は、ここ最近ではっきりと高まっています。
AIで「2025年 全国企業倒産 件数」について調べてみると、次のような解説が出てきます。
2025年(1〜12月)の全国企業倒産は1万300件で、前年を上回りました。
年間で1万件を超えるのは2年連続で、2013年以来の高い水準に達しているとされています。
— AI検索で「2025年 全国企業倒産 件数」について調べた際の解説より引用
これは、どの社長の取引先にも、倒れる会社が紛れ込みやすくなっているということ。
「うちの取引先に限って」という思い込みが、いちばん危ない。
大きな会社ほど安全とも限りません。
規模の大きい取引先が倒れたときほど、焦げ付く金額も大きくなります。
倒産のサインは、日々の取引のなかに出ている
取引先の異変は、決算書を取り寄せる前に、ふだんのやりとりのなかに現れます。
たとえば、次のような変化です。
- 支払いサイトを延ばしてほしい、と急に言ってくる
- 手形の期日を先送りしたい(ジャンプ)という相談が入る
- これまでにない大量の発注を、急に持ちかけてくる
- 経理担当者や代表者の交代が、短い間に続く
- 支払いの数日遅れが、いつの間にか常態化している
ひとつだけなら、どこの会社にも起こりうることです。
ですが、これらが重なってきたときは黄信号。
「いつも通りだろう」と思いたくなる気持ちは、よくわかります。
とはいえ、違和感を放置した分だけ、最後に焦げ付く金額は大きくなってしまう。
気づいた時点で取引条件を見直したり、回収を前倒しできないか動いたりするだけで、被害はずいぶん変わります。
平常時にこそ、与信の網を張っておく
取引先の倒産そのものは、こちらの力では防げません。
だからこそ大切なのは、倒れられても自社が連鎖しない構えを、平常時のうちに作っておくこと。
まず見直したいのが、一社依存です。
売上の大半を1社に預けていると、その会社が傾いた瞬間に自社まで傾く。
取引先を少しずつでも分散させておくことが、いちばんの防波堤になります。
次に、取引条件の整理。
取引先ごとに与信の枠を決め、回収サイトはできるだけ短く、入金の確認は仕組みとして回す。
主要な取引先については、年に一度でいいので、信用情報や業績の様子に目を通しておくと安心です。
売掛債権を守るための取引信用保険やファクタリングといった手段があることも、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
こうした備えに共通しているのは、自社の現金がどこから来て、どこで止まりうるかを把握しておくという姿勢。
たちばなはじめが繰り返し伝えているのも、現金の流れから目をそらさない、という一点に尽きます。
もし取引先が倒れてしまったら、まず何をするか
実際に取引先が倒れたと知ると、頭が真っ白になり、つい慌てて動いてしまいがちです。
ですが、最初にやるべきは事実確認のほうです。
どの債権が、いくら残っているのか。
契約書や納品記録、請求書を集めて、回収できていない金額を正確に洗い出します。
そのうえで、相殺できる買掛金がないか、担保や保証が付いていないかを確認していく。
そして、ここからが本番です。
取引先の回収に気を取られている間も、自社の資金繰りは動き続けています。
手元に残った現金を、どこに、どの順番で回すのか。
これを早い段階で決めておけるかどうかが、自社が連鎖して倒れないための分かれ目。
銀行への返済が重くのしかかってきそうなときも、答えを急がないでください。
金融機関との交渉方法を見直すことで、法的な手続きに頼らずに乗り切れる余地が、まだ残されている場合があります。
そして、債権の確定や取引先との後始末に絡んでくる、契約や法務の論点。
こうした込み入った部分は、顧問の弁護士や税理士と連携しながら、社長おひとりで抱え込まずに進めていけます。
取引先リスクは、倒れてからでは間に合わない
取引先の倒産は、こちらの努力で止められるものではありません。
けれど、自社まで連鎖して倒れるかどうかは、平常時の備えしだいで大きく変わります。
一社依存の見直し。
与信の網を張ること。
現金の流れを、いつでも把握しておくこと。
どれも、業績や時間に余裕があるうちにしか手をつけられません。
すでに取引先の倒産で資金繰りが揺らいでいる社長も、どうか諦めないでください。
いまの局面で何が残っているかを一緒に整理するところから、できることは必ずあります。
取引先リスクを含めた資金繰りの守り方は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています。
会社と社長にお金を残す基本的な考え方を直接お伝えするセミナーも、定期的に開催しています。
たちばなスキームの全体像を学びたい方は、ぜひお越しください。
取引先の異変が気になっている、あるいはすでに焦げ付きが出ている。
そんなときは、無料の個別相談もご利用ください。
もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談ください。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
あなたの選択肢を、一緒に考えませんか?

