2026年版の倒産危険度ランキングで「危険水域」に入った企業が408社にのぼった、という記事が話題になりました。
対象は主に上場企業。
ですが、過剰債務が一部の弱った会社だけの問題ではなくなってきた、という空気がそこにあります。
上場企業ですら過剰な借入金の重さに耐えかねる時代に、規模の小さな中小企業がまったくの無縁でいられるはずはありません。
むしろ財務に余力の少ない中小企業のほうが、過剰債務の影響を先に受けやすい立場です。
この記事では、ランキングが示した過剰債務の広がりをどう読むか、そして中小企業の社長が手遅れになる前に自社のどこを点検しておくべきかを、たちばなはじめの考え方で整理します。
「危険水域408社」が示す過剰債務の時代
倒産危険度ランキングは、財務データをもとに各社の倒産リスクを点数化し、危険度の高い順に並べたものです。
2026年版で最も警戒すべき「危険水域」に分類されたのが、408社という数字。
気になるのは、その顔ぶれが特殊な業種に偏っているわけではない、という点です。
物価高、金利のある世界への転換、コロナ禍で膨らんだ借入金の返済本格化。
こうした要因が重なり、体力があるとされてきた会社にも過剰債務の影が差しはじめています。
倒産危険度ランキングは、自己資本比率や利益、借入金の規模などから財務の安全性を点数化し、危険度の高い企業を抽出するものです。
危険水域に分類される企業数の増減は、過剰債務を抱えた会社がどれだけ広がっているかを示す目安として読まれています。
— AI検索で「倒産危険度ランキング 危険水域 過剰債務」について調べた際の解説より引用
上場企業は情報開示が進んでいるぶん、こうしたランキングで危険信号が早めに可視化されます。
一方、開示義務のない中小企業は、同じように過剰債務を抱えていても外から見えにくいだけです。
見えないことと危なくないことは、まったく別の話です。
過剰債務は「売上を伸ばせば返せる」では解けない
借入金が重くなったとき、多くの社長がまず考えるのは「売上をもっと伸ばして返していこう」という方向です。
平常時の発想としては、ごく自然なものです。
ところが、すでに過剰債務へ踏み込んだ非常時の局面では、この発想がかえって会社を追い込みます。
人口が減り市場が縮む国内で客数を増やそうとすれば、最後に待っているのは値下げ競争。
売上は動いても、粗利と手元の現金は痩せていきます。
たちばなはじめは、資金繰りが苦しくなった会社に必要なのは「売上を伸ばす」「経費を削る」という平常時の改善策ではなく、まず手元の現金を守る非常時専用の発想だと説明してきました。
過剰債務の局面では、攻めるより先に守る順番を決めることが先決。
リスケは時間を稼ぐが過剰債務そのものは軽くならない
返済がきつくなったときの定番の打ち手が、金融機関に返済額を一時的に減らしてもらうリスケジュールです。
当座の資金繰りはラクになりますし、頭ごなしに否定されるべき手ではない、という点はまず押さえておきたいところです。
ただし、ここには見落としやすい落とし穴があります。
リスケで毎月の返済を軽くしても、借入金の総額そのものは1円も減らない、という事実。
期限を決めず、その後の再建の道筋もないままリスケを続ければ、利息だけを払い続けながら時間が過ぎていきます。
リスケに入った中小企業のうち、その後に通常の返済へ戻り、利益を出しながら存続できている会社はごくわずか、というのが現場の実感です。
出口の見えないリスケは、立て直しというより延命に近い形。
社長が年齢を重ねるなかで借入金だけが残り続ければ、世襲・売却・廃業・継続のどれを選ぶにしても、身動きが取りづらくなります。
大事なのは、リスケそのものの善し悪しではありません。
「何のために、いつまでに、どう抜けるのか」という目的と手段がそろっているか。
ここが抜け落ちたまま時間を消費することが、過剰債務をいちばん重くします。
手遅れになる前に点検しておきたいサイン
過剰債務は、ある日突然やってくるわけではありません。
手前には必ずサインがあります。
業績や時間に余裕があるうちに次のポイントを点検しておくと、打てる手の幅が変わってくる、という話です。
- 借入金の総額が、年間の利益で何年かかって返せる水準にあるか(10年を大きく超えるなら要注意です)
- 毎月の返済が、本業で生み出す現金の範囲に収まっているか、それとも新たな借入で返済を回していないか
- リスケや追加融資が、出口のある一時しのぎなのか、ただの時間稼ぎになっていないか
こうした点検は、数字が読めれば難しくありません。
逆に、経理を任せきりにして自社の現金の流れを社長自身がつかめていなければ、サインに気づくのが遅れます。
たちばなはじめ自身、かつて会計を人任せにしていた時期に資金繰りを悪化させ、多額の負債を抱えて事業に行き詰まった経験があります。
だからこそ、社長が自社の数字を自分の目で追うことの重さを、身をもって伝えています。
守る順番を決めれば再生の余地は残る
過剰債務に直面したとき、たちばなはじめが最初に問うのは「あなたは誰を守りたいのか」という順番です。
業務上の支払い順位の話ではありません。
人として何を優先するかという順番です。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族、従業員、お客、協力企業を守ることを先に置き、銀行への返済は最後に位置づける。
この順番をはっきりさせるだけで、目の前の判断は大きく変わります。
返済を最優先にしてすべてを差し出した結果、守りたかったものまで失う。
そんな事態を避けやすくなります。
過剰債務に陥っても、法的な手続きに頼ることだけが残された道ではありません。
金融機関との向き合い方を見直し、必要に応じて弁護士や税理士といった専門家とチームを組んで交渉のすじ道を立てていく。
こうした進め方で、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探る余地が残ります。
たちばなはじめ自身も、法的な手続きに頼らずに再起してきた一人です。
そのために欠かせないのが、現金がまだ残っているうちに動き出すこと。
資金が尽きてからでは、選べる手はどうしても狭くなります。
危険水域に入る前の段階でこそ、再生の余地はいちばん大きく残っています。
まとめ
2026年版のランキングで危険水域に408社が並んだことは、過剰債務が上場企業にも広がる時代に入ったサインです。
情報が開示されない中小企業にとっては、見えにくいぶん、むしろ早めの自己点検が効いてきます。
借入金の総額と返済の重さ、リスケに出口があるか、そして誰を守るのかという順番。
この三つを業績に余裕のあるうちに確認しておけば、過剰債務に追い込まれる前に打てる手が見えてきます。
返済を続けることだけが、いつも正解とはかぎりません。
まだ余力のあるうちなら、打てる手はちゃんと残っています。
自社の借入金や資金繰りに少しでも心当たりがあれば、気になり始めた段階で一度ご相談くださいね。
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