毎月の入金より先に、支払いが集中する月があります。
給与日、取引先への支払日、税金や社会保険料の納期、そして銀行返済。
これらが同じ週に重なってしまう月です。
「全部払うとマイナスになる」「どこから手をつければいいのか」。
そう言って頭が止まってしまう経営者を、私たちは何度も見てきました。
このとき迷ってはいけないのが、支払いの順番。
順番が決まっていれば、たとえ厳しい月でも判断は早くなります。
逆に、順番がないまま「とにかく全部」と手を出してしまうと、家族や従業員にしわ寄せが行く。
あとで立て直しが難しくなるケースも少なくありません。
では、なぜ支払いが重なると、経営者の判断は止まってしまうのか。
同月に支払いが集中すると手が止まる理由
毎月の資金繰りで一番厳しいのは、給与日と税金納期と銀行返済が一週間ほどの間に並ぶ月です。
売上の入金が少しずれただけで、資金繰りは一気に苦しくなる。
このとき、多くの経営者がどう動くか。
催促の強い相手から払うのかというと、実はそうではありません。
税金や身近な支払いをすべて後回しにしてでも、銀行への支払いを先にしてしまう。
これが、現場で起きていることです。
「銀行との関係だけは壊したくない」。
その思いが、いちばん強く働くからです。
けれども、この順番のままでは、本来守るべき支払いが後回しになってしまう。
支払いの順番は、銀行への遠慮ではなく、経営にとっての重みで決める。
これが、資金繰りで行き詰まらないために重要な考え方です。
「誰を守るか」の優先順位を決める
たちばなはじめが繰り返し伝えているのは、資金繰りに悩んだときに、まず「誰を守るか」を経営者自身が決めておくという考え方です。
守りの順番を明確にしておくと、支払いの判断はブレません。
私たちが大切にしている守りの順番は、家族、従業員、取引先や顧客、そして金融機関。
家族を最初に置く理由は、単純です。
経営者が再起するときの土台は、家族。
従業員が二番目なのは、その生活が日々の仕事のうえに成り立っているからです。
「銀行を後回しにしたら事業が続けられなくなる」
と思われるかもしれません。
が、身近なところへの支払いを犠牲にして銀行への返済を続けても、その先に経営エネルギーは残らないのです。
支払いの順番を決める5つの目安
守りの順番が決まったら、毎月の具体的な支払いを、それに沿って組み立てていきます。
たちばなはじめが経営者に伝えている支払い順序の目安は、次のとおりです。
- 税金・社会保険料:公共性が高く、滞ると事業の継続そのものに影響しやすい
- 家賃・光熱費・通信費:事業の物理的な基盤を支える固定費
- 給与:従業員の生活が日々まわっているため、遅配は避けたい
- 仕入代金・取引先への支払い:連鎖倒産を避けるための信用
- 銀行返済:投資を引き受けた側として、最後に位置づけるという考え方
税金や固定費を先に置くのは、事業そのものを止めないため。
事業が止まってしまえば、守りたい家族も従業員も守れなくなります。
なお、この順番は、人それぞれ違って構いません。
事業の状態や取引先との関係などによって、その順番は変わるものです。
ただ、唯一変わらないのは、銀行が一番最後だということ。
なぜ銀行返済が最後なのか?
銀行返済の優先順位を下げる。
これは、決して「返さない」ということではありません。
経営者は、家族や従業員、取引先、顧客への責任を背負っている。
これらの責任を放棄してまで、銀行返済を優先することが本当に正しいのか。
これを、一度考えてみてほしいのです。
リスケジュールや借入条件の見直しを含め、銀行と交渉しながら家族・従業員・取引先を守る道筋を組み立てていく。
これが、たちばなはじめの再生スキームの基本姿勢です。
「銀行との関係を壊したくない」という思いから、家族の生活費を削り、従業員の昇給を見送ってでも、返済を最優先する。
そうやってがまんを重ねるうちに、資金繰りが立ち行かなくなってしまう。
これが、いちばん多いパターンです。
手遅れになる前に動く
支払いの優先順位を頭では理解していても、いざ動くとなると、ほとんどの人が躊躇します。
そして、躊躇している間にどんどん資金が流出してしまいます。
結局それを続けて「全部払って何も残らない」ということになってしまうんですね。
手遅れになる前に動きましょう。
資金繰りは、我慢してはなりません。
まずは支払状況の確認から
銀行よりも身近な支払いを優先する。
これは、なかなか受け入れ難い考え方かもしれません。
が、無理な支払いを続けていたら、遅かれ早かれ必ずどこかで限界がきます。
もし少しでも資金繰りで悩んでいるなら、まずは現状を見直してみてください。
今の支払い順位はどうなっているでしょうか。
資金繰りの立て直しは、まずはそこから。
もし順序の決め方に迷うことがあれば、まずは一度ご相談ください。
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